日本の中小企業は「小をもって美しきとなす」。完璧なまでの細部へのこだわりが、企業内のクオリティコントロールや生産管理で体現されている。
食卓に置かれた一杯の熱々のラーメン。そこから漂う美味しそうな香りのなかにも、数学の公式のような生真面目さが感じられる。「8番らーめん」社の生産工場で、自動化された麺の生産工程を一望した。小麦粉と水の比率や、調味料に入れる酢や塩の比率が、厳格にコントロールされている。社内には実験室が設けられ、3名のスタッフが毎日、材料配分の精度を厳重にチェックしている。機械を使用するほか、人間の舌で検査している。
8番らーめんの生産部長、吉村由則氏によると、当日製造されたラーメンは、出荷前に近所の安全研究所で微生物検査をするという。これは、毎日必ず行われる重要な工程である。検査を担当するアルプ食の安全研究所は、8番らーめんと同じ石川県の中小企業で、食の安全に対して連帯責任を負う。