福島
パニックになる必要はない
福島第一原発で発生した事故の影響から、福島に行くか否かについて私たちは長く逡巡した。しかし福島は復興の道を考える上で最も重要な場所の一つだ。
福島行きの前夜、私が知ることができた福島の放射線量測量結果は、毎時0.76~1.00マイクロシーベルトだった。つまり、もし当地に二日間滞在し、室外活動時間の総計が20時間だった場合、受ける放射線量は最大20マイクロシーベルトとなる。これは胸部エックス線写真を1回撮影したときの放射線量の半分である。あるいは、東京とニューヨークを往復したときの放射線量の10分の1である。
日本の消費者に行ったあるサンプル抽出調査によると、震災から9か月経ったにもかかわらず、80%近い人が災害地の食品に対して不安を感じている。スーパーでは、高知県のキュウリの販売を一人3本までと制限している。しかし福島産のキュウリは安いのにもかかわらず山積みとなって残されていた。
福島県白河市の「東西白河農協」で、当地で採れたプチトマトを食べてみた。正直言えば、食べる前は心配だった。食べてみると、とても新鮮でおいしい。こんなにおいしいプチトマトは10年近く食べていない。農家の人がトマトを切り、目方を測ってから放射線測定器に入れた。10分ほどすると初期測定結果が出る。その後30分ほどかければ、さらに詳細な結果を出すことができる。トマトには、原発事故後に放出されたセシウム134、セシウム137、ヨウ素131は検出されなかった。
今後、福島と言えばまず原発を思い出すということもなくなるに違いない。福島の復興計画の中に、放射線医療の先端地区にするというものがある。当地にある総合南東北医院は、日本最大規模のガン検査治療機構である。日本で初めて中国医療機構との協定を結んだ病院でもあり、中国人を対象とする医療観光プロジェクトを展開している。
仙台
農業の科学的発展による安全性の確保
仙台は東北地域最大の都市だ。東日本大震災の津波でひどい被害を受けた被災地でもある。
ここで私は、新鮮でおいしいキャベツを食べた。日本人は海水にのまれた土地に対し、特殊な微生物によって田畑の塩分濃度を低下させる技術を採用した。農地を復活させ、トマトやキャベツを植えたのだ。
この運用システムは非常に先進的だ。田畑に測定器が置かれ、湿度や塩分濃度がリアルタイムで分かる。すべてのデータはスマートフォンを通じて農業技術指導員に伝わり、農家もスマートフォンを通じて指導員の「水撒き」などのアドバイスを受けることができる。
仙台にはキリンビールの生産工場がある。地震の影響により、ビール工場は昨年9月になってやっと再開した。11月上旬に発売された新製品には、被災地からの原料が広く使用されている。生ビールには岩手県遠野で採れたホップが、ワインには福島産のブドウが、フルーツサワーには東北で採れたリンゴがそれぞれ使われている。これもまた、被災地の復興に対する日本企業の貢献のかたちなのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年2月11日