ロシアの調査チームは2月8日、20年間の調査研究の結果、南極の氷床を掘削していたドリルが氷床底にある2000万年の歴史を持つ巨大な淡水湖に到達したことを発表した。
月面着陸に匹敵する意義
ロシアの調査チームは5日、南極の東約1300キロメートル、氷床面から3769.3メートル下にある「ボストーク湖」の表面に到達した。湖は長さ250キロメートル、最も広い場所で幅40キロメートルに達し、五大湖であるアメリカのオンタリオ湖ほどの大きさがあり、南極に大小400個ほどある氷床湖の中でも最も面積が大きい。
ボストーク湖が凍っていないのは、湖を覆う氷床が毛布のような役割を果たし、地熱を閉じ込めていたためであり、湖に生息する微生物は約2000万年もの間、氷に閉ざされていたと見られている。これは太陽系に他の生命体を発見するための手がかりになる可能性が高い。
極端な高圧・低温の環境のあるボストーク湖は、表面が氷に覆われている火星の環境に近く、火星での生命体発見に繋がると調査チームは推測している。ロシア北極南極研究所のヴァレリー所長は「このプロジェクトは月面調査と同じくらい重要であると言っても過言ではない」と述べている。
またロシア北極南極研究所は、ボストーク湖のような光が全く入らない環境下で何かしらの化学反応が起こり、バクテリアが生存してきている可能性があり、数百年間の海底生物と同様に「特有の進化を遂げてきた可能性もあるが、まだ調査段階であるため断言できない」としている。
アメリカとイギリスの調査隊も同様に南極で調査を進めており、それぞれ氷床湖の研究を行っているが、米コロンビア大学の地球物理学者であるロビン・ベル教授は「アメリカやイギリスが発見した氷床湖はどれもボストーク湖より面積が小さく、年数も浅い」と指摘している。
ロシアの調査チームは今後、遠隔操作によってボストーク湖の調査を引き続き行い、湖水や湖底に沈殿している物質のサンプルを採取する予定である。しかし、この調査を開始するためには南極条約の許可が必要であるという。
米テキサス農工大学(テキサスA&M大学)の教授であり、南極調査グループを率いてきた海洋学者のマーロン・ケニカット氏は、「地球はどのようにして人類の活動に対応してきたか、特に石油などによる排気ガスと気候変動の関係性の手がかりは、南極が経験してきた気候変動の歴史に隠されている。地球の歴史の研究を行うことは、地球の未来へと繋がる扉である」と指摘している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年2月10日