現在、広州の訪日パッケージツアーの価格は震災前の水準に回復しただけでなく、桜の季節になったことで、ほとんどがソールドアウトとなっている。震災後、日本観光がこのように迅速に回復したのは、日本が常に様々なやり方で海外の観光客に安心感を与えてきたことと深い関係があると筆者は考える。実のところ震災は日本の観光業にとって致命的なダメージとはなっていない。むしろ福島の放射能がもたらす影響のほうが大きかった。放射能の影響は地域によって差がある。情報をどう観光客に伝えるべきか。観光客の不安をどう取り除いてあげるべきか。こう考えたとき、最も良い方法は、観光客が自ら体験することであり、その後口コミでその体験を広げてもらうことだった。震災後、日本は海外の観光客を惹きつけるため、放射能の影響が最も少ない沖縄を突破口として、一連の観光客優遇措置を採ったのだ。結果として、その効果は抜群だった。
しかし、観光客の不安を払しょくできたとしても、実際の回復が力強いものでなければ、日本の観光業はこれほど迅速に回復できなかっただろう。この点は敬服に値するものだ。筆者の得たフィードバック情報や自分自身の経験から見て、日本観光業は今回の地震と放射能漏れ事故によって非常なダメージを受けた。しかし同業界は非常に冷静な態度を貫いた。政府機関から旅行会社まで、観光地から大ホテルまで、誰もがそれぞれの方法で立て直しを行ってきたのである。素早く修復された道路、通常の営業を貫く企業、乱れることのないプロフェッショナルな精神、いつも通りの上質なサービス……。これらに感嘆しないではいられない。彼らは静かに整然と、観光客のために準備してきたのだった。とても素晴らしいと思う。
日本の観光業の復活は、政府が「観光立国」を政策として推進してきたためだけでは決してない。業界の一致団結した努力、さらに全ての民間企業が作り出した良好な環境と雰囲気があってこそなのである。今筆者は、伊豆の桜並木に立つ。花の香りが立ち込める中、すがすがしい空気を吸っていると、日本の旅行業の明るい未来が見えてくるようだ。この一年を回顧するに、我々はさらに自分を鼓舞すべきだと感じる。天災が避けられないとき、恨みや悲しみは心にしまって、全社会が努力し、生きるため、生活するために新しい道を探すべきなのだ。四川大地震後に立ち直った汶川もそうあるべきであり、玉樹も舟曲もそうあるべきだ。すべての機関と団体が、市民のために心から誠意を尽くす。同じ空の下に生きるすべての人が、そうあるべきだと思う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月18日