業界では、有機ELテレビは2015年から徐々に普及し、高いシェアを占めるようになると見られているが、その技術を開発したソニーはサムスン電子とLGディスプレイに遅れをとっている。
液晶時代に上流の液晶パネル分野への進出を断念したソニーは、有機EL時代にも同様の状況を迎えることなど望んでいない。液晶パネル事業における川上企業からのサポートがない同社のテレビ事業は8年連続で赤字を計上し、多くの参考書に企業戦略の典型的な失敗例として挙げられた。こうして、有機EL事業に力を入れテレビ事業を立て直すことが平井一夫社長の最良の選択となった。
当然、サムスン電子とLGディスプレイに追いつくには、技術を向上させるだけでなく、産業化などの面でも追いつかなければならない。ところが、巨額赤字の泥沼にはまったソニーが自分の力だけで追いつくのは非常に難しい。