欧米のホットマネーが中国から流出し続けるなか、日本企業による対中国投資が再加熱している。2012年に入り日本の対中投資は好調に推移し、第一四半期に13.2%増加した。中国へ進出する日本企業がここに来て異常なほど勢いを増している格好だ。
▼魅力的な市場
今年36歳、新世代の起業家である近藤広幸氏のキャリアは、1999年にデザイン会社「Mash Style Lab」を畠山広文氏と共に立ち上げたことに始まる。同社はデジタルアニメデザインを主業とし、広告やゲーム、映像のデザインなど幅広い分野の芸術制作を扱う。2005年にはファッション事業部を設立し、同時に女性用ブランド「snidel」を打ち出している。
近藤氏はファッション業界で成功を収め、今やsnidelは日本のデパートで最も売れ筋のブランドとなった。同氏によると、snidelは2012年5月までに上海、杭州、重慶、成都、天津、武漢など11箇所で専門店を開いている。
「日本ではすでに22店舗を展開しており、これをさらに増やすとブランドバリューが下がるでしょう。我々の優れたデザインを他の国の人々にも享受してもらうことを考えたとき、我々はまず最初の国として、欧米ではなく中国を選びました。欧米からもオファーをもらっていたのですが、このブランドは日本人と似通った中国人のほうにより受け入れられる気がしたのです」
中国の大きな市場も、近藤氏が重要視したところである。「日本の新世代の起業家にとって、国境の概念はますます希薄になっています。グローバル企業を作り世界の市場を相手にすることに目が向いているのです」