上記三つの状況変化を見ると、中国経済が本当の意味での転換点に差しかかっていることは間違いないと向松祚氏は述べる。経済成長が鈍るなか、経済構造と成長方式を調整し、その転換を滞りなく済ませられるか、経済成長を内需による牽引や技術革新、全要素生産性の向上に立脚したものに変革できるかというのが、中国が立ち向かうべき根本的かつ長期的な課題になる。これは再度の経済革命と言っていい。中国は第二次経済革命を必要としているのだ。
同氏は近年銀行の利益が大幅に伸びている現象について、通貨政策緩和や貸付規模の急激な拡大に由来したものと考えている。これは主に、銀行資産が急速に拡大しつつあることの表れであって、利ざやが増えたことの結果ではないという。2008年の金融危機以降、中国政府が進めた金融危機対策としての政策を支持するために銀行が貸付拡大を急いだことを同氏は原因と見ている。2009年貸付規模は9.6兆元であり、8兆元を超えた2010年と2011年を合わせると、3年間の貸付拡大はおよそ26兆元にのぼる。2011年現在、銀行業界全体の貸付残高は58.2兆元であるから、この3年間の新規貸付額が、新中国建国以来の貸付総額の半分を占める計算になる。