こうした問題に対し、「日本人は仕事でも暮らしの上でも、細部まで行き届いていることで有名なのに、なぜこれほど初歩的なミスが起きてしまったのだろう?」という疑問が禁じ得ない。
日本はかねてから「観光立国」実現に向けた取り組みに尽力しており、この度、2012年度から2016年までの5カ年の観光立国推進基本計画を閣議決定している。国土交通省に設置された観光庁の指導のもと、各自治体では、地域に内在する観光資源の発掘・整備に余念がなく、また集客力のあるサービスの強化に努め、各地の特色に応じた具体的な実施計画を制定している。この点で、日本は観光事業の振興に、その他の国では類を見ないほど、きめ細やかな政策が推進されている。
だが、こうした計画を充分に実施できないケースも多々ある。これは、各自治体の財源不足によるものでもあるし、自治体が闘争にかまけ指導を怠っていることにもある。特に、観光に関わる安全管理において、大きなリスクが内在しており、悪徳業者がビジネスチャンスをうかがっているというのが現状だ。