4月のマクロ経済統計によれば、中国の経済の下ぶれリスクはますます増大している。国の関連部門は最近、大型インフラプロジェクトの承認を積極的に進めており、鉄鋼や水力発電、空港、鉄道関連のプロジェクトが相次いで国家発展改革委員会(発改委)の承認を得ている。市場では、2008年の世界金融危機発生時の大型景気刺激策のような 景気対策への期待が強まっている。6月1日付中国証券報が伝えた。
発改委投資部門研究員・中国投資協会会長である張漢亜氏は先般、中国証券報のインタビューに答えた際、中国の2四半期の経済成長率が第1四半期よりさらに減速するが、第3四半期には景気底入れの見通しであるとした上で、マクロ経済の現況からは、適度な景気刺激は経済が低迷から抜け出す足がかりとなると指摘した。
マクロ経済政策は微調整にとどまり、当面劇的な変化なし
中国証券報:今の経済状況下、投資拡大による景気刺激が最も妥当な選択肢なのでしょうか。
張漢亜氏:中国は、まさに投資によって経済をけん引する発展段階にあり、都市化と工業化の過程で大量のインフラ施設の建設が必要です。したがって、経済成長を刺激するには投資は最もコントロールしやすくかつ有効な手段なのです。
3月以降、マクロ経済政策に微調整がなされました。ただ、プロジェクトの承認から実施まで一定の時間を要するものであります。2008年11月に4兆元投資計画が打ち出された時は、2009年の第3四半期になって初めて効果が現れました。今回の政策調整がGDPに影響を及ぼすのにも、半年程度の時間がかかると思われます。
2008年の4兆元投資は政府主導によるプロジェクト建設推進でしたが、今回は類似の計画がなく、当面プロジェクトの承認を速めているということに過ぎません。その意味で、今回の政策調整は微調整であり、今のところ劇的な政策面の変化は見られていません。中国にとって8%という経済成長はすでに速いもので、7%に下がっても正常なことです。したがって、いま成長速度が下がることに過度に警戒心を抱く必要はないと思います。世界各国の平均経済成長率は6%にも達しないのですから。