日本の「週刊東洋経済」は6月9日、野口悠紀雄・早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授による「中国での金融事業は日本の新しいチャンス」という見出しの文章を掲載した。以下はその抜粋。
中国は海外直接投資(FDI)によって成長した典型例である。2000年の中国のFDIは470億米ドルで、11年は1160億ドルだった。日本からのFDIは2000年は30億ドル、05年は60億ドル。米国からのFDIは1位となっている。
しかし、中国は今後、国内の貯蓄や国際市場などから投資に必要な資金を調達し、FDIを必要としなくなるのではないか。そうなれば、中国の貯蓄過剰部門は投資過剰部門に資金を供給しなければならず、その過程で金融活動が必要になる。
中国の資本市場は発達しておらず、しかも、国有大銀行に支配され、外資の参入は厳しく規制されている。しかし逆の見方をすれば、日本の金融機関に活躍の余地を与えている。
世界貿易機関(WTO)加盟時の公約に基づいて、中国は2006年12月から金融業を外資に開放した。中国は先ごろ、海外企業による国内合弁証券会社への出資比率の上限を現行の33%から49%に引き上げることで合意。また、合弁証券会社による商品や金融先物の取引を認める方針を示した。
しかし、この分野で激しい競争が展開されるはずで、日本の高度成長期のような「監督部門と良好な関係を保てば万事安泰」とはならないだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年6月15日