2005年7月に人民銀行が為替改革を行なった後、2008年までに人民元対ドルレートは6.4元に上昇していた。この人民元の上昇は金融危機を輸入したに等しく、中国経済も大きな打撃を受けた。中国中央政府はこの問題を意識し、2009年から長期間にわたり対ドルのレートを6.8元程度に固定したとマンデル氏は述べる。
2009年秋、国際金融市場の経済専門家はみな、中国経済がハードランディングする可能性を考えていた。中国経済において輸出の縮小が著しかったからである。しかし2009年、中国経済の成長率は予測を上回り8.6%に達した。これは中国政府が4兆元の経済刺激政策を行ない財政政策を強化したからだと考えたが、マンデル氏は根本的な原因は他にあったと認識している。2009年の下半期にドル安が進行していたため人民元もつられて安くなり、それにより中国の輸出市場がやや回復したというのが同氏の見解である。