中国新疆華凌工貿(集団)有限公司は、グルジアの首都トビリシで7月4日、グルジアの金融機関・BASISBANKの90%の株式を取得したと発表した。中国の民間企業が、海外の金融機関を買収するのは今回が初めてのケースとなる。国際金融報が伝えた。
同社は同行の買収に約1億ドル(約80億円)を費やし、一部の資金は中国の開発銀行から調達した。株式の譲渡が完了すると、BASISBANKは「華凌銀行股フン有限公司」となり、トビリシの他に、グルジア第2の都市のクタイシに支店を設立する予定だ。
銀行業界の某アナリストは、「同買収は積極的な意義を持ち、中国民間企業による海外金融市場進出の先例となった。中国の大型企業が海外進出する際(特に金融業)、相手側は国家による戦略的な買収を警戒しやすく、純粋な民間資本の方が受け入れられる傾向がある。また海外金融市場の開拓について、中国企業はニューヨークやロンドン等の欧米の発達した地域を選択したがるが、今回の買収によりその他の地域の可能性が示された」と指摘した。
同氏はまた、「同買収により、現地の金融市場に進出する場合、買収する側は現地で長期的に業務展開し、一定の基盤を築き、現地政府と市場に対して中国企業を理解させる必要がある」と述べた。中国新疆華凌工貿(集団)有限公司は2006年にグルジアで登録を行い、業務範囲を木材加工から採掘および金融まで拡大し、現在まで1億ドル以上の投資を行なっており、グルジアにおける投資総額が最高の中国企業となっている。
BASISBANKは、グルジアの商業銀行(19行)のうち資産総額11位の銀行であり、預金・貸付・担保・決済・証券・外貨換算を主要業務としている。今年3月末、同行は公式サイトを通じて、資産総額が1億5400万グルジア・ラリ(約9400万ドル)、2011年の税引き前収入が3億5200万グルジア・ラリ(約2億1595億ドル)、2010年の税引き前収入が2億700万グルジア・ラリ(約1億2699億ドル)に達したと発表した。格付け会社のフィッチ・レーティングスは2011年、同行の格付けを「安定的」とした。
同氏は、「現在、世界にはBASISBANKのような中小銀行が多く存在しており、海外市場の開拓を目指す中国企業にとって、理想的な選択肢と言える。海外進出はまた、人民元の国際化に積極的な作用をもたらす。中国企業の海外金融市場の進出に伴い、海外人民元建て業務がより多くの国と地域で展開されるだろう。しかし金融業界の特殊性に基づき、中国企業は海外で買収を行う際、リスク評価を事前に徹底するべきだ」と提案した。
「人民網日本語版」2012年7月5日