この「不意を突く」という表現のため、業界内ではレート改革の方法について議論が繰り返され、就業問題に対する影響が懸念された。調整幅が大きすぎれば、企業は対応しきれず、人員削減や営業停止に追い込まれる可能性があり、失業者が増加する。中央銀行の周小川総裁は、「2005年の2.1%の切り上げ、段階的に推進されたレート調整は、予想されていたような深刻な影響をもたらすことはなかった。むしろ世界からの圧力が軽減され、人民元レート形成メカニズムの改革が推進された」と語った。レート改革から2008年までの3年間で、人民元の価値が19%増加した。
人民元レートは過去7年間で段階的に調整されたが、今年に入り調整が加速されている。4月に対米ドルレートの1日の変動幅が0.5%から1%に拡大され、6月に人民元と円の直接取引が解禁された。これらは人民元レート形成メカニズムの改善を促した。
◆金融危機の影響
銀行関係者は、「レート改革を始めた当時、海外旅行や留学のコストが下がったため、決済業務が急増した。関連データもまた、貿易会社がレート調整に適応していったことを示している」と語った。
7月のレート調整後、単月の輸入額の増加率が数カ月連続で20%を上回り、2005年通年の17.6%を上回った。また単月の輸出額の増加率も20%以上に戻り、30%に迫った月もあった。企業がレート調整に適応し、改革に対する懸念が払拭された。
しかしながら、好調は2008年末までだった。リーマン・ショックにより、中国の貿易会社の受注量が激減し、海外事業を中心とする企業は経営難に陥った。2009年は「外国貿易にとって最も苦しい1年」と称され、輸出データの低下と悲観的な見方が市場を支配した。税関総署の統計データによると、中国の2009年の輸出入総額は前年比13.9%減となった。