趙客員教授は、「これらの圧力を受け、業界内では当時、大幅な元安が予想されていた」と語った。景気低迷を受け、人民元レート改革はかつてない苦境に立たされた。しかし2008年末から2010年にかけて、人民元レートは予想を上回る理想的な数値を示し、対米ドルレートは約6.82を維持し、バランスを保った。
◆人民元レートの市場化を推進
人民元レート改革が中国に利益をもたらしたことは、言うまでもない。中央銀行はかつて、「レートの変動により、サービス業の内需関連部門に資源を回すことができる。また産業のアップグレードを促し、貿易のバランスを維持し、輸出に対する経済の過度な依存を防ぐことができる」と述べた。2010年、中国が金融危機による影響からいち早く脱却した際、中央銀行は人民元レート改革の推進を再度促した。
業界関係者は、「人民元レート形成メカニズムの改革をさらに推進し、人民元レートの柔軟性を高めるとする発言は、人民元が一度に切り上げられることがなく、上げ幅も適度に抑えられることを示している。人民元の対米ドルレートは、双方向的に変動するため、変動幅がやや大きくなる」と指摘した。
今年より、人民元切上げは人民元レート改革の代名詞ではなくなった。人民元レートが合理的な水準に達したとする主な根拠は、元安がすでに予想されていること、経常項目の黒字がGDPに占める比率が大幅に低下していることだ。光大証券がこのほど発表した報告書もまた、「人民元がこのほど元安の圧力に直面しているため、人民元の対米ドルレートは、現時点としては適切なバランスを維持している」とまとめた。
趙客員教授は、「人民元レートの市場化が進んでいない。人民元の動向に対する見方は依然として『単一的』であり、市場の未熟さを示している。中国は人民元の貿易決済における比重を高め、グローバル企業の人民元建てクロスボーダー決済を促す等の手段により、市場を徐々に成熟させるべきだ」と提案した。
「人民網日本語版」2012年7月20日