◆産業移転、中国製の競争力は
アナリストは今後について、「各種コストの増加に伴い、将来的により多くの企業が東南アジア等に移転する可能性がある。しかし全体的に見て、中国の製造業の競争力が、短期間内に大きく変化することはない。中国製品は世界の製造業で、重要な地位を占め続ける」と指摘した。
中国社会科学院中小企業研究センターの羅仲偉主任は、「中国の製造業は長年の発展を経て、関連の産業チェーンが構築され、制度が整っている。特に沿海部において、産業間・産業内部の協力が推進されている。これは東南アジア諸国が、短期間内に構築できるものではない」と分析した。
蘇州の衣料品製造企業の担当者は記者に対して、「2008年の金融危機発生後、当社はベトナムに直営工場を設立したが、経営が順調に行われなかった。1着の服を製造するため、数種類の糸やボタン等が必要となるが、現地の市場から調達できない。通関や輸出等の際にも問題が生じやすい」と語った。
専門家は、「1980-90年代より、人件費や土地等が安価であったことから、外国の投資家が中国に押し寄せ、その他の国家に目もくれなかった。しかし今や中国から得られる利益が減少しており、一部の新興経済国が関連産業への進出の機会を得ている。これは資本移動の法則にかなっている。外資の注入により、新興国の物流供給チェーンやインフラの整備が促され、中国製品が厳しい競合に直面することになる」と述べた。
2億着のシャツを輸出し1機のボーイング機を輸入する。このような貿易を継続することはできず、イノベーションにより産業のアップグレードを図らなければならない。