◆収入の二極化
ゴールドマン・サックス管理部中国副主席の哈継銘氏は、「消費の二極化の主因は収入の格差だ。中国経済の発展に伴い、高所得層の消費が増加しており、特に高級ブランドに対する需要が旺盛だ。中所得層は不動産価格やインフレなどの圧力を受け消費能力が低下しており、用途に応じて高級商品と安価な商品を買い分ける可能性がある。それから大きな比重を占める低所得層だが、彼らは価格に対して敏感であり、主に安価な商品を選択する。インフレが生じ、食品価格が高騰すれば、低所得層の生活負担が増し、より安価な商品を求めるようになる」と分析した。
中所得層の楊洋さんも、上述した分析を裏付けている。楊洋さんは上海の外資系企業で勤務しており、ボーナスを足した年収は15万元(約188万円)に達する。楊洋さんは、「仕事で使うものはブランド品を選択する。同僚に見せられないようなものは購入できない。ただ日用品はできるだけ節約し、貯金しマイホームの頭金に充てなければならない」と語った。中所得層は一定の消費能力を持つが、不動産価格が高すぎるため、消費の際に選択を迫られる。
中国国家統計局のデータによると、中国の所得水準には、地域差・業界差・職種差が依然としてあり、中には深刻な差が存在する。業界差については、金融業の所得が全国平均の2.15倍に達する。農業・林業・畜産業・漁業は全国平均の48%のみにとどまっている。また実際の所得差は、データで反映されている分をさらに上回る可能性がある。
◆年齢層による消費の差
中国経済をけん引する「3頭立ての馬車」のうち、消費がこれまで最も不足していた。近年の外需低迷を受け、内需の刺激がますます重視されるようになり、中央政府も消費刺激策を実施している。しかしながら、一般庶民はさまざまな懸念から、財布の紐をきつく締めている。高齢者は病気を恐れており、「すねかじり」にあっている高齢者もいる。中年は両親を扶養すると同時に、子供の教育費を工面しなければならない。若者は貯金をし、マイホームを購入しなければならない。また所得の増加率が物価上昇率を下回り、実体経済の不況等の懸念材料があり、安心して消費にお金を回せない。
哈氏は消費増加率の低下の主因について、「これまで実施された消費刺激策が終了し、その後の消費能力が低下した。また経済成長が減速しており、資産効果が薄れたことで、消費増加率の低下を招いた」と指摘した。
哈氏は中国の消費の今後について、「今後については、消費のアップグレードが最大の特徴となる。これは中国経済の成長を促し、今後20-30年間の経済成長を支える。また経済発展の構造の改善につながり、内需が経済発展の主な原動力となる」と分析した。
「人民網日本語版」2012年7月26日