国際通貨基金(IMF)はこのほど中国との「第4条協議」を終了したことを受け、24日に米国・ワシントンで関連の評価報告書を発表した。それによると、世界ではマイナス要因がますます強まっているが、データをみると中国経済は軟着陸を実現しつつあることがわかる。今年の中国の国内総生産(GDP)成長率は8.0%に低下するとみられるが、来年はやや上昇して8.5%に上昇することが予想されるという。IMFアジア・太平洋部門のマーカス・ローラー副主任は、「世界の他の国に比べて、(中国の)この成長率はなお驚くべきものだ」と述べた。
▽中国経済が世界の需要を牽引
「第4条協議」とは、IMFが協定第4条に基づいて、毎年一度、加盟国との間で行っている個別の協議を指す。今年5月29日から6月8日にかけて、ローラー副主任が率いる作業チームが中国を訪れ、中国政府とマクロ経済管理について話し合いを行った。同チームがIMF本部に戻った後に作成した報告書は、IMF理事会における話し合いの資料となった。同報告書は加盟国のマクロ経済に対する「身体検査」とみなされている。
IMFの指摘によると、中国のインフレ圧力は食品価格が低下したことにより緩和している。農産品の供給が新たな打撃を受けなかったとすれば、今年のインフレ率は3.0%-3.5%の水準を、来年は2.5%-3%の水準を維持することが予想される。
同報告によると、中国経済の成長ペースは鈍化しており、このことは中国が政策的行動によって経済成長ペースをより持続可能な水準まで引き下げたことにある程度原因がある。ただユーロ圏で危機が激化したことが中国経済の将来に重大なリスクをもたらしているという。
IMF理事会は同報告書について話し合った後、中国の現在の財政政策は適切なものであり、通貨政策の方針も中国政府の経済における目標に合致しているとの見方を示した。IMFの理事は国際金融危機の期間における中国経済の力強い成長が世界の需要に対して重要な牽引作用を発揮したことを高く評価。また、今後の中国の政策決定者が直面する主な課題は、引き続き経済の軟着陸の実現であり、改革を加速させ、経済成長をよりバランスの取れた持続可能なものにすることであるとの見方で一致した。