▽中国の不動産市場の温度引き下げを歓迎
ローラー副主任は同報告書と同時に発表された「国際通貨基金概要」の中で、「中国の経済成長が鈍化すると予測するが、大きく鈍化することはないと考える」と述べ、中国の経済政策はすでに成長支援の方向へと転換しており、中国経済が軟着陸を達成することを確信するとの見方を示した。また、中国の今年第2四半期(4-6月)のGDP成長率は7.6%で予想を上回っており、現在の情況を踏まえれば、今年の経済成長率は8.0%前後となり、この成長率は世界の他の国に比べてやはり驚くべきものであると指摘した。
IMF理事は中国が金融部門の改革で遂げた進展に歓迎の意を示しつつ、中国にはなおやるべきことがたくさんあると強調。これには危機管理の枠組の強化、正式な預金保険制度の採用、銀行の商業的な誘導の強化などが含まれるとした。またIMF理事は中国政府が不動産市場の温度引き下げのために取った措置を歓迎するとし、中国は個人の投資が不動産市場から他の金融資産に移るよう誘導して、不動産市場でのバブル発生の可能性を取り除くことを含めて改革を急ぎ実施する必要があるとの見方を示した。
同報告書の指摘によると、中国の外部のアンバランスはかなり改善されたという。経常収支の黒字は2007年はGDPの10.1%を占めてピークに達したが、昨年は2.8%に低下した。IMF理事は中国の対外的なアンバランスが軽減し、特に経常収支の黒字が減少したことを歓迎した。同報告書は、人民元は通貨バスケットに対してなお低く評価されているとするが、中国側は異なった見方を示す。中国のIMF理事の張濤氏によると、IMFのこうした見方は現実にそぐわない。経常収支黒字の大幅な低下と最近の人民元相場の双方向の変動から、人民元相場が大体においてバランスの取れた水準にあることがわかるという。