日本企業による生産ラインの海外移転の直接的な原因は、進行する円高だ。歴史的な円高を迎えた現在、ドル安・ウォン安が深刻化している。米韓企業と比べ、日本企業の輸出製品は競争力が低下している。為替レートによる負の影響を軽減するため、企業は生産ラインを低コストの第三国に移転している。
電力不足も生産ライン移転の重要な原因だ。福島原発事故後、日本の原発が稼働停止に陥っている。福井県の大飯原発3、4号機は稼働を再開したが、その他の原発の稼働再開には時間がかかる。これを受け日本政府は節電政策を実施し、電力企業は電気料金を引き上げ損失を減らしている。電力不足・電気料金の引き上げを受け、金属加工等の電力消費量の多い中小企業は国内の生産を減少させ、生産ラインを発展途上国に移転している。鋳造メーカーの辻井製作所の辻井一男社長は、「電気料金引き上げを受け、コスト削減のため海外移転を余儀なくされている」と述べた。