◆証券法に抵触しない
一部の市場関係者は、上場している証券会社の従業員が自社株を保有するのに、決して打つ手がないわけでないと見ている。『暫定弁法(意見募集稿)』は「従業員持株計画」の実施において、第三者機関による管理方式を採用することができると提起している。この面で、条件はすでに整っている。
中信証券の関係者は「中信証券は投資信託などの方法を利用して、従業員による自社株取得の推進も可能である。投資信託やファンド、その他の資産管理機関という第三者機関を利用した際、効率が高い上、運営も容易である」としている。重要なのは、第三者機関を通して株式を取得するのと、従業員が個別に「他人の名義を借用して」、私利を得るために株式の売買を行うのでは、雲泥の差があるということだ。この方法であれば、『証券法』にも抵触しないはずである。今後の株式の出所については、法律と規定に違反しないという前提の下、様々な方法を試みる可能性がある。
「当時、『証券法』の草案を作成する際、従業員の自社株の保有を禁止したのは、証券会社と顧客の利益が互いに衝突してはいけないという趣旨からで、現在のような従業員の持株問題が発生することまでは考えが及ばなかった」と『証券法』の起草と改正に携わった中国人民大学法学院の劉俊海教授は話す。劉教授は「『暫定弁法(意見募集稿)』に従うと、証券会社従業員が株式を取得するためには、取締役会、株主総会の承認を経て、更には公表しなければならず、第三者機関を通さない限り、自社の株式を購入することはできない。このような一連のプロセスを経て実施される従業員持株計画は投資家の利益を損ねることはなく、『証券法』の趣旨とも矛盾しない」との見方を示している。
「中国証券報」より 2012年8月21日