第二に、QE3の主な目的は長期金利を引き下げることにある。現在、米債券市場の利回りは過去30年間で最も低い水準にあり、緩和策の実施によって、市場全体の利回りを更に一段階引き下げる意味があまりないことは明らかである。今後一定期間、FRBによる毎月400億米ドルのMBS(住宅ローン担保証券)買い入れ策は、バランスシートの拡大に繋がるとは限らない。
第三に、他の経済国が必ずしも足並みを揃えるとは限らないということ。一部の新興市場国がインフレを懸念し、引き続き緊縮政策の実施を選ぶことも考えられる。例えば、ロシア中央銀行は9月13日、主要政策金利をそれぞれ25ベーシスポイント引き上げることを決定した。消費者物価指数(CPI)の上昇率が中銀目標の6%を超え、インフレに対する懸念が背景にあることがわかる。このような動きはロシアに止まらない。
現在の国際資本の流動は不確定要素が極めて多く、米ドルの変動に伴い、国内の金融政策の調整は双方向の圧力を受けると見られる。