2011年7月から2012年7月末にかけての米ドル指数の上げ幅は、10%を超えている。7月末に、QE3期待が高まったことで、米ドル指数は高水準で反落した。QE3の実施を決めたことで、短期間内に米ドルの上昇傾向は変化し、人民元切り上げへの圧力は高まる。FRBがQE3の実施を発表した後、人民元対米ドル基準値は既に5取引日連続で上昇している。
仮に各国の中央銀行が同時に緩和策を実施すれば、各国の貨幣価値を引き上げることになり、為替レートの変動に拍車をかけ、クロスボーダーの資本流動の不確定要素も増加する。長期的に見ると、アメリカは先進国の中でも先んじて、経済の回復軌道に乗ると見られ、米ドルが大幅に切り下げられる可能性は小さい。アメリカの経済が今後も回復し続け、或いは予想を上回る回復を見せた場合、再び米ドル強勢となり、人民元は再び、切り下げ圧力に直面する。仮に中国人民銀行(中央銀行)が追随して、緩和策を実施した場合、国内の資産価格は上昇し、資本の流れが逆転して消えたとき、国内経済は重荷に耐えられないだろう。
各経済国のレバレッジ解消の進行状況は違うため、金融政策も同調して行うべきではない。欧米諸国は金融危機に対して、量的緩和政策で対応しているが、欧米各国の民間部門は過去4年間に渡り、レバレッジ解消を進めており、既に概ね終了している。例を挙げると、アメリカの不動産価格は既に最低水準まで下落している。