前者を見ると、QE3によって押し上げられる大口商品価格の上昇幅は、過去2回のQEには及ばないと見られる。過去2回の量的緩和が実施されていた際、米ドル安が進行し、需要が回復したことも同時に作用したことで、大口商品の価格は著しく上昇した。QE3の実施期間中、FRBのバランスシートが拡大するペースは過去2回よりも遅いと見られており、米国の経済成長の相対的な優位性、繰り返される欧州債務問題によって、米ドル相場が大幅に下落する可能性は小さい。更に重要なのは、QE3が実施される状況が過去2回とは違うことである。今の新興国経済は成長力に欠けており、欧州経済も低迷の一途を辿っている。米国は財政危機にさらされており、実体経済の需要の後押しがない中で、QE3が大口商品の価格を大幅に押し上げることは極めて難しい。
次に資本の流入に関して言うと、QE3は新興国市場への資本の流入を促す可能性があるものの、規模を過大評価するべきでなく、中国の金融状況で、顕著な緩和を実現することは難しい。過去2回のQEの際、FRBの流動性の放出によって、中国への「ホットマネー」の流入規模が著しく拡大したことで、2009-2011年、中国の外貨購入に伴う自国通貨の放出額は大幅な増加が続いた。QE3は中国の外的要因による流動性縮小の改善にある程度の効果を発揮するが、外貨購入に伴う自国通貨の放出額が減少する局面を根本的に変えることは難しい。一つに、この度のQE3におけるFRBの月間の資産購入額は、過去2回を大幅に下回る。そして、人民元は既にバランスの取れた為替水準に極めて近づいており、対米ドルで一方的に上昇する可能性は小さい。
全体的に見て、QE3は過去2回の量的緩和のように、中国のインフレ水準を大幅に押し上げることはないと見られる。9月のCPI上昇幅は2.2%前後になると見られ、第4四半期のCPIの前年同期比上昇率が3%を超えることは難しく、インフレ上昇のペースは緩やかでコントロールできるものである。
「中国証券報」より 2012年9月25日