しかしグローバル化は世界を「平ら」にし、国家間の「産業間の分業」が、「産業内の分業」に移行した。
ドイツと日本だけは自動車を生産するが、中国も生産している(中・低所得者向けの車が多いが)。この状況下で日本製品不買を実施しても、ハイエンドな日本車をあきらめるにすぎず、中国企業の車を選ぶことができる。しかし「産業内の分業」から、「商品内の分業」を切り離すことはできない。「米ボーイング社の航空機は、全世界で組み立てられている」という言葉は、グローバル化を説明する上で最も分かりやすい一例となっている。中国と日本の産業も、この構造の中で密接につながっている。
トヨタとホンダの中国合弁企業に対する持株率は、いずれも50%に満たない。NECの筆頭株主はレノボで、資生堂、ソニー、東芝は中投集団という共通の株主を持つ。青島ビールの第2位の株主はアサヒビールだ。持株率を見れば、それが日系企業であるか中国企業であるかを判断できる。