また、中国の経済成長の鈍化は、国内の経済構造の調整には必要不可欠なものである。現在、構造調整のプラスの効果は続々と表面化している。中国国務院発展研究センターの盧中原副主任は「上海、広東地域の輸出は減少しており、工業付加価値(増加値)も下がっている。しかし、下がっているのはいずれも従来型の製造業であり、ハイテクノロジー産業の輸出の割合は減少しておらず、安定している。つまり、中国のハイテクノロジー産業は影響を受けていないということだ」との見解を示している。中国国家発展改革委員会(発改委)の張燕秘書長は「2012年1-8月、中国の経済成長は減速しているものの、雇用の創出は、年間の国内総生産(GDP)成長率が11.2%だった『十一・五』期間(2006-2010年)よりも明らかに好調である。つまり、2012年の中国の経済は、スピード重視から品質重視へ向かっていることを意味する」との見方を示した。
「周期性の要因に関して、経済には必ず周期性の変動が生じるものである。この度の減速周期は、金融危機の影響を受けて長々と伸びている」と発改委マクロ経済研究院の王一鳴副委員長は話す。国際通貨基金(IMF)の研究によれば、金融危機が正常な軌道に戻るには約7年を要する。今日の経済危機は既に5年目に突入している。中国の経済は30年余りの急速な成長を経ており、潜在的な成長力が低下することは当然であり、世界的に見ても、急速な成長を永遠に維持し続けた国はない。中国の現在の国内総生産(GDP)は47兆2000億元で、基準となる数値が拡大しているため、今後も引き続き2桁の成長率を維持するのは現実的ではない。
金融の緩和は資産のバブル化を招く