中国資本企業で海外投資に失敗したのは同公司だけではない。同公司が泥沼に陥った国際金融市場でのデリバティブ投資では、過去10年間に中国航空油料集団公司の事件、国家物資儲備局の銅取引をめぐる事件、中国遠洋運輸(集団)総公司の事件、中国中鉄株式有限公司の事件など多くの事例があり、数十億元に迫る巨額の損失を出している。また一部の中国資本企業は買収に当たって大盤振る舞いをし、リターンについては「長期的な利益」を強調して、投資収益率に対する基本的な判断をきちんと行っていない。
ある会社の行った投資が失敗した場合、原因に偶然の要因があったことが考えられる。だが複数の企業が行った一連の海外投資がことごとく失敗したとすれば、原因にメカニズム上の問題があった可能性が濃厚だ。
海外投資で巨額の損失を出す企業は、国内市場での投資では向かうところ敵なしの状態にあることが多い。中央企業(中央政府直属の国有企業)は現在、国民経済を構成する重要なパワーだが、海外市場に身を投じた時には過酷な国際市場における自身の競争力を過大評価しがちだ。賭に出るような心持ちで国際市場に参入し、当たれば名誉と利益を得るが、当たらなければ賭なので責任を負わない。投資の方針決定の誤りのツケを払う人はおらず、そうであればリスクの問題を考える必要もなくなる。こうした点が、中国資本企業の海外投資が相次いで失敗する根本的な原因だと考えられる。
「人民網日本語版」2012年10月9日