48年ぶりに日本で開催された世界通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会は、世界経済の先行き不透明に対する懸念を深めた。欧米の景気低迷による影響は、すでに新興国に波及している。各国の実施した金融引き締め策は経済を冷え込ませ、財政の健全化がより困難になっている。この苦境の他に、日米等の政治的空白もまた経済回復の足を引っ張っている。世界経済の「悪性循環」からの脱却は、容易なことではない。
発展途上国の経済成長予想値が下方修正
世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は、「先進国の危機は、一瞬にして世界全体に波及する」と発言した。2008年秋のリーマン・ブラザーズの経営破綻により発生した世界的な金融危機から4年が経過するが、欧州債務危機が経済リスクを蓄積させており、これまで世界経済の成長をけん引してきた新興国も負の影響を被り始めている。
IMFは同年次総会の開催前の9日、2012年と2013年の各国経済の成長に対する予想を発表し、中国、インド、ブラジル等の新興国に対する7月の予想値を下方修正した。
その最大の原因は、欧州の経済情勢だ。欧州ではギリシャやスペインのみならず、堅調を維持していたドイツ経済も衰退の兆しを見せ始めた。
中国はまた巨大な消費市場であり、中国経済の減速は、日本等の輸出減を招く可能性がある。
IMFのラガルド専務理事は13日の記者会見で、「財政再建は、各国の異なる状況に応じ調整する必要がある」と述べ、各国が同時に金融引き締め策を講じていることに対して、不満を表明した。
欧州で金融引き締めを実施するギリシャ等の経済が急激に低迷しており、財政赤字の削減計画に遅れが生じている。増税や社会保障費の削減等が世論の反発を招き、社会を不安定化させるリスクが増加している。財政再建の遅れは、投資家の国債の投げ売りを招き、金利負担が増す可能性がある。
米国の減税措置が終了し、強制的な予算削減が生じる財政の崖(フィスカル・クリフ)に対する懸念が深まっている。訪日したティモシー・ガイトナー財務長官は「これは越えられる障害だ」と強調したが、年末までに財政の崖の問題を解決できなかった場合、GDPの4%を押し下げる金融引締めが実施されることになる。
ラガルド専務理事は「世界経済の脅威」という強い言葉で米国に対して警告を発し、迅速に対策を講じるよう求めた。
政治的空白
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年10月16日