人的資源の総量は依然として圧倒的優勢
記者:先進国の「再工業化」は中国の産業構造に影響を与えるのか。「世界の工場」の地位は短期のうちに他国家に奪われるのか。
裴長洪氏:製造業のアメリカ回帰現象は確かに存在するが、それらは主にハイテク技術関連だ。低収入家庭では教育レベルが落ちており、アメリカ全体の人的資本レベルは下がり続けている。アメリカの産業構造と労働市場に格差が広がっており、中間層が縮小している。中レベルの技能を持つ労働市場に限りがあることから、アメリカで製造業の生産が大規模に回帰する可能性はほとんどない。
中国以外の新興国が「世界の工場」の条件を満たすのは難しい。第一に、これほど大規模なものを移転させること自体困難だ。第二に中国の労働者のスキルは不断に上昇しており、新たな競争力となっている。
人的資源の総量で見ても、中国は今後10年間、圧倒的優勢を維持する。 特に中西部地域の労働コストは一定の期間、東部地区より低い状態が続き、潜在的労働供給力は保持される。中国の従来的な労働力の優勢は、中西部があることで一定期間は長引くことになる。