一方、電子機器製造業の状況は全く対照的のようだ。中国の市場調査会社、奥維コンサルティング(AVC)のフラットパネル・ディスプレイ事業部の劉闖部長は中国証券報の取材に対し、技術レベルが遅れているため、中国国内のパネル産業の生産設備・製造ラインや部品の多くは依然、日本から仕入れる必要がある。国内パネル市場の需要が高まるにつれ、調達量は今後、増えることはあっても減ることはないだろう。中国企業には他に選択肢がないため、為替相場と決済方法が変わる事で転換できるものではない。しかし、この度の円安によって、対日本の輸入事業を主に取り扱う企業が恩恵を受けているのは明らかである。
パネル産業大手の京東方科学技術集団有限公司は、円建て事業を多く取り扱っており、円相場の動向が会社の業績に大きく影響している。2011年の中期業績で赤字を計上した際、会社は主要原材料と新しい生産ライン設備の調達における円建て決済の割合が大きく、輸出製品は米ドル建てで決済しているため、為替相場の変動がマイナスに影響し、為替差損が生じたと説明している。