米国の経常赤字は2007年より減少しているが、これは貯蓄率が上昇したためではない。投資活動の冷え込みにより、外的要因による赤字が押し出されたためだ。政府の財政状況の悪化により、米国の全体的な投資率は、すでにGDPの13%まで低下している。一方で、中国は依然として高い貯蓄率を維持している。中国の経常黒字が減少したのは、投資の増加率が貯蓄率の上昇を上回り、GDPの約49%に達したためだ。言い換えるならば、米国の貯蓄は金融危機前より減少し、中国の投資は増加したことになる。
米国経済の今後の回復は、投資活動の再活性化を引き起こす。米国企業は、必要不可欠な資本支出を先送りしている。また米国の空港・橋などは、先進国の基準に照らし合わせればすでに老朽化しており、インフラ投資が重要になる。貯蓄率がやや改善され、国内のエネルギー生産量が増加し、石油天然ガスの輸入量が減少したとしても、成長回復はより大きな経常赤字を生む可能性がある。