日本にとって欧州は中国と米国に次ぐ第3の貿易パートナーであり、関税の引き下げと関税障壁の撤廃を目的とするEPAの締結は、日欧双方にとって経済立て直しの重要な一環となる。日欧EPA交渉の最大の焦点は自動車だ。日本はEUに10%の自動車関税の撤廃を求めている。EUは日本の軽自動車規格に問題があると考えているほか、食品安全基準の見直し、医薬品の輸入審査のスピードアップなどを求めている。日本の農業市場の開放も大きな障害だ。日本は輸入米に778%、輸入乳製品に360%の関税を課している。日本は長年来、高い関税によって外国産農産物の流入を阻止してきた。関税撤廃は日本農業にとって深刻な打撃となる。日本はEUとのEPA交渉で農産物を関税引き下げ・撤廃の例外とするよう極力務め、TPP交渉や中韓とのFTA交渉でも同様の立場を堅持するだろう。農産物分野でどんな譲歩をしても安倍政権は国内農業関係者の断固たる反対に遭うことが予想される。これは日本とEUのEPA交渉が順風満帆とはいかないことを示してもいる。