公の場所に出ることが難しいように思える流行文化だが、日本では政府や民衆の誇りになっている。訪日期間で感じたのは、「クール・ジャパン」という言葉がすでに政府や民間で広く受け入れられ、肯定的な評価を受けているということである。
アメリカのジョゼフ・ナイ教授が提出したソフト・パワーの概念は、国家の総合的国力は経済力や軍事力といったハード・パワーだけにとどまらず、文化的な魅力も重要であり、それは政治的価値観への共感や外交政策などによって表現できる。ナイ教授は、ソフト・パワーが効果を発揮するのには自らの魅力にかかっており、他人がしたくないことを強制することでは決してないと論じている。
ただし、ソフト・パワーも宣伝が必要だ。「ブランド国家論」も、イメージや名誉は国家の戦略資産であり、管理を通じて国家イメージを作り、観光や貿易、唐詩、援助、人材といった海外資源を吸引するというものである。今回、最も啓発的だったのは、日本も「クール・ジャパン」というスローガンによって自己の国家ブランド戦略を打ち出しているということである。21世紀に入り、アニメやマンガを代表とする「クール・ジャパン」は言葉として日本国内外の世論や知識界で盛り上がっているだけでなく、日本政府の政策分野に国家戦略として根付いてきている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年3月30日