ここ2年の変化については、アメリカが再びアジア太平洋地域を重要視する国防戦略を掲げたことである。中国は世界において発展が最も速い経済大国であるが、中国の発展は独立独歩で成し遂げたものではなく、アジア地域全体の経済が世界で最も活発で大規模なものになっていることは、世界が認めるところである。協力・連携が中国と他のアジア諸国のウィン・ウィンをもたらしたことは誰の眼にも明らかだ。
当然、中国の規模が各段に大きいために、一部のアジア諸国は中国を「用心」する姿勢をとっている事は理解できる。我々が訴えたいのは、欧州連合(EU)加盟国間であっても、似たような「用心」の姿勢は完全には消えておらず、この度のアメリカのアジア回帰を機に、その警戒心は明らかに刺激され、大きくなっているのも事実だ。
このことを問題視し、心配しているのは中国だけではない。今こそ、アジア諸国が互いの信頼感を強化し、共通認識を深めることが地域全体の共通の利益である。
ここ数年、南中国海の問題が活発化していること、米国主導で進む環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)とアジアの連携の対立関係が鮮明になりつつあること、更には中国の釣魚島(日本名:尖閣諸島)問題の激化など、見え隠れするアジア地域の問題は地域の協力・連携にとっては決して喜ばしいことではない。