翟振武院長は、中国の高齢化は現代化の前を行っており、「備えが整う前に進行する」「裕福になる前に進行する」という特徴が目立ってきていると指摘する。
家庭の小型化、人口の流動化に伴い、伝統だった家族による介護も減り、中国の介護サービスは「在宅介護を中心に機関が介護する」という形で発展している。しかし、人材、物質、資金、認識、制度などの不足により、社会が行う介護サービスは供給が不足し、「備えが整う前に高齢化が進行」する事態となっている。
中国社会科学院人口・労働経済研究所の蔡昉所長は、「第12次5カ年計画」期間中に中国が直面する最大の試練は、「裕福になる前に高齢化が進行する」という状況だと話す。
高齢化進行によってもたらされた労働力の供給減少、価格の上昇により、中国が有していた人件費面の優位性はなくなるだろう。農村部の労働力の移転、労働力人口の規模で都市部のニーズを満たすことは難しく、一般労働者の給与も急速に増加している。中国がすぐに資本密集型産業で著しい競争優位性を確立することはできないため、比較優勢性は「空白」の状態になる。この問題を適切に解決しなければ、発展が進まない「中所得の罠」に陥る可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年4月15日