明るく広々とした店内、色別に陳列された商品、笑顔で迎えてくれる店員。東京でも、上海でも、はたまたニューヨークに居ても、ユニクロの印象は変わらず、店舗には一種の統一化された基準がある。そして、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、より一層高度な部分にも、この「統一化」した基準を導入しようとしている。
ファーストリテイリングは先般、全世界で働く役員と幹部候補の正社員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を推進する方針を明らかにした。しかし、朝日新聞(電子版)の調査結果によると、多くの日本人がこれに対し、支持しないとの立場を示しており、「国内市場と雇用環境により一層ダメージを与えることになる」との懸念を示している。専門家は「この新たな政策は、諸刃の剣となる恐れがある」と指摘する。
「世界同一賃金」で海外人材を確保
一部調査機関のデータによると、日本におけるユニクロの店長の平均年収は670万円(約40万元)である。『朝日新聞』の報道によると、「世界同一賃金」が導入されれば、全世界のユニクロ店において、業績が同じであれば、店長は日本の店長と同等の年収水準を得られる。
社内公用語の強制的な英語化、海外展開の計画で店舗数を3000店に増やすなどの野心的な戦略を展開してきたファーストリテイリングは、今度は「世界同一賃金」を推進しようとしており、グローバル化に並々ならぬ力を注いでいることが分かる。ユニクロが海外市場で業績を伸ばしていることがその背景にはある。先般発表された中間財務報告によると、2012年9月から2013年2月、ユニクロの海外市場における売上は目を見張るものがあり、売上高及び営業利益の伸び率はそれぞれ54%と39.8%である。中でも、中国などのアジア諸国が最も大きく業績に貢献している。好調な業績に比例し、155億米ドルに上る個人資産を有するファーストリテイリングの会長兼社である柳井正氏は今年、再び米経済紙『フォーブス』の日本長者多番付のトップに選ばれた。
柳井氏は「世界同一賃金導入の狙いは、新興国を含む国々の優秀な人材を確保し、海外事業をより一層拡大することにある。同じ会社にいるにも関わらず、国が違うために賃金が低いというのは、グローバル事業を展開しようとする企業ではあり得ない」と話している。
「社内失業」の深刻化に繋がる?