東京大学の後藤則行教授はインタビューに対し、「ユニクロの好調な業績が、日本のグローバル化における諸刃の剣をカバーすることは難しい。新興国が日増しに世界の生産と消費の中心になるにつれ、海外に目を向ける日本企業がどんどん増えている。日本の従来の雇用と経済成長のモデルは試練に直面しており、産業の空洞化はますます加速している。企業の日本国内の労働力に対する需要が縮小していることで、労働環境は厳しくなる一方である。また、不景気の中、正社員への待遇低下にかかる圧力は高まり、多くの企業が『社内失業者(労働者が正社員として企業に在籍していながら仕事を失っている。法律上などの制約によって解雇されない状態の余剰人員)』を抱え、深刻な社会問題となっている」と述べた。
4月末のとある調査結果によると、8割の日本人が日本のグローバル企業の「世界同一賃金」の導入に反対している。調査に参加したサラリーマンは「高齢化と少子化問題が深刻化する中、日本の企業はなぜ、若者を熾烈な国際競争にさらすのだろうか」と疑問を投げかけている。ファーストリテイリングの人事担当は以前メディアに対し、「新たな制度が導入されれば、発展途上国の社員に比べ、日本や欧米などの先進国の社員は確かに、高収入という優位性を失う可能性がある」と述べていた。これに対し、後藤教授は「日本企業、特にグローバル企業は、社会的な責任にも真剣に向き合う必要がある。国内の状況を顧みず、賃金体系を画一的に処理してはいけない」と指摘する。
グローバル化の流れの中で、国内市場を守りながら、海外発展での利益を享受するにはどのようにすれば良いのだろうか。「ユニクロの試みはまだ始まったばかりである。これは、海外市場での発展に期待する全ての日本企業が真剣に向き合わなくてはいけない問題である」と後藤教授は言う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年5月6日