◆円安が大企業にもたらした利益
米ニューヨーク・タイムズ紙は5月20日、アベノミクスは実施以来、確かに積極的なシグナルを発したと伝えた。例えば日本政府は、2013年第1四半期のGDP成長率が3.5%に達したと発表した。ソニーは5年ぶりに黒字転換を実現した。さらに極端な例だが、日本のビジネス街に位置する高島屋では、価値が2万ドルに達する腕時計の売れ行きが好調だ。実質、昨年11月に野田佳彦前首相が衆議院解散・総選挙を宣言した後、ドル円相場は下落を続け、1ドル=102円前後と約20円の円安が生じた。アベノミクスの効果が、たちどころに現れている。株式市場はこれを受け、全面高になっている。アナリストは、「ドル円相場が1円下落するごとに、日本の全上場企業の経常利益が1%上昇する。日本の大手自動車メーカーは、合計で約4000億円の利益を手にすることになる」と指摘した。かつて低迷を続けていた家電・電子企業、例えばソニーの株価は772円から1623円に上昇し、パナソニックの株価もほぼ倍増し、キヤノンやニコンなどの株価も約50%上昇した。電子部品および工作機械の大手、また注目されていなかった医薬品・食品メーカーの輸出額も増加している。毎日新聞の報道によると、日本三大金融グループの2013年3月までの年間営業利益は220億ドルに達し、7年ぶりに200億円を上回った。銀行業の業績回復は、企業への融資拡大を促し、実体経済の発展を支援する。
日本のある専門家は、「『安倍式の回復』は典型的な『金融駆動型成長』だ。株式市場の全面高は資産効果をもたらし、GDPの4割弱を占める日本の家庭の資産(日本の家庭の20%が株式を保有)が増加し、消費者の消費意欲が強まる。円安により企業の収益力が強化され、これが最終的に増給・配当増につながる可能性がある」と分析した。