しかし、これらの政策は実行される際に、アニメ・漫画の質ではなく、量に重きが置かれることが多い。例えば、ある地方政府は、現地で製作されたアニメ・漫画がテレビ局で放映されるだけで、長さに応じて補助金が支給されると規定しているため、結果的に一部のアニメ・漫画企業は政府の補助金を獲得するためにわざとアニメ・漫画の長さを伸ばし、1000話を超えるテレビアニメを製作する。深夜の誰も見ないような時間帯にこういったアニメを放映しても、同じように補助金が得られることになる。このほかにも、政策の支援の下、各地方にアニメ産業園区が建設され、全国にすでに100を超える似たようなアニメ・漫画祭やアニメ祭、ゲーム祭などが開催されている。表面的には繁栄しているように見えても、これは目の前の利益だけを求める気持ちや行動の現われでしかない。例えば、まるで他作品のコピーのようでありながら1200万元(約1億8556万円)で撮影した「巨編」も、キャラクターイメージからシーンに至るまで、その内容が何かのパクリと疑われても仕方のない「力作」なども、多くのアニメファンを深く失望させている。
国産アニメ・漫画と比べると、映画・テレビ業界や出版業界は、このような政策上の優遇措置はあまり多く受けていないが、非常に健闘し、過去10年間にわたって急速に発展・進歩してきた。国産映画の興行収入は続けざまに新記録を更新し、中国は世界第2位の映画市場に成長したほか、出版業界も産業増加値が1億6000万元(24億7400万円)を突破した。テレビドラマも高度成長を遂げ、アフリカでは家で中国ドラマを見るために、町中は人影がまばらというほどのブームを巻き起こした。これらの文化業態の成功の原因を総合的に分析すると、政府の支援や保護による功績はもちろん無視しがたいものはあるが、否定できないのは、あらゆる分野で比較的早期に徹底的な市場化改革を行ったことだ。政府が過度な支援政策を採らず、関連分野の市場競争は比較的規範的かつ熾烈だったことだ。これらの文化業態は最終的にいずれもある種の法則に沿って、発展の道を歩むことになり、中には株式上場を達成する企業も現れた。
アニメ・漫画企業を逆の観点からみると、政府から補助金やプロジェクト、優遇措置が過剰に与えられているため、結果的に企業は資金を手に入れることはできたが、観客の期待に応えるような優秀なアニメ作品は市場から姿を消してしまった。質が高くない作品でも生き残れるため、アニメ・漫画企業は本当の意味で観客や市場を重視することが難しくなってしまった。この調子でいけば、アニメ・漫画企業の向上心は必ず失われ、ひいては業界自体が消滅してしまうだろう。そのため、国産アニメ・漫画は徐々に政府からの乳離れが必要な時期に来ていると言える。さもなければ、常に政府の胸に抱かれて母乳を与えられたままで、いったいいつ独り立ちできるというのだろう?
「人民網日本語版」より 2013年6月16日