日本には厚みのある基礎研究力と技術開発力があるが、市場の規制が厳しいことや縦割りの行政管理体制が災いして、研究成果が臨床技術や薬品に速やかに転化することがかなわず、日本では医療機器と薬品の輸入が輸出を上回る。このような産学研間のギャップは「デスバレー」(死の谷)などと呼ばれている。
日本は今年3月、内閣官房長官が主導する健康・医療戦略室の設置を明らかにし、政府や2012年のノーベル医学・生理学賞受賞による後押しを受けて、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を代表とする再生医療の研究に最重点を置くとした。日本の経済産業省の試算によると、30年には日本の再生医療市場の規模は1兆6千億円(1ドルは約97.8円)に達するという。同戦略室の中垣英明次長は、「日本は世界に向け超高齢化社会が抱える問題のソリューションを提供していきたい」と話す。
各特区の所在地の自治体の主な役割は、設備と情報の共有に向けた知識イノベーションプラットフォームをうち立てることだ。京浜特区にある横浜バイオ産業センター、横浜新技術創造館、産学公民連携研究センターなどの研究・インキュベーション施設は、すべての研究機関、企業、市民に開放されている。また特区には情報の発信を専門に行う機関もあり、産業や研究をめぐる最新の情報をタイムリーに生産者や研究者に発信している。
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