資金に困っていない中国が資金不足に陥ったのはなぜか。現在の流動性危機は、表面的には銀行が四半期末の監査の時期に入り、資金に対する需要が大きくなり、各銀行が貸出を控えていることと関係がある。また監督管理部門が資産管理商品や国境を越えた鞘取引に対する監督管理を強化したため、各銀行が資金を増やして規定の要求に対応しようとしたこともある。だが根本的には、ここ数年の金融システムの発展と運営管理体制が実体経済の発展ニーズから大きくずれてしまったことが原因として挙げられる。国が経済成長を喚起するために注入した資金は、実際には実体経済に回ることはなく、大量の資金は金融システムの内部を動き回って利ざやを稼ぎ、レバレッジ投資や満期のギャップを通じて絶えず利益を求め、資金は金融機関の間を何度も往復して利益を獲得している。これだけでなく、スケールメリットを備えた国有企業や資金集めに非常に熱心な一連の上場企業は、低いコストで資金を獲得することが容易であり、委託貸付などの方法で利ざやを稼ぐことができ、これにより資金の重複計算が生じ、社会全体の貸出額が見かけ上増加することになる。ここからわかることは、現在の資金不足は通貨政策の引き締めによって起きたものではなく、過去数年間の金融システムが国内外の通貨緩和という政策的環境によりかかり、実体経済から離れて無計画に発展し、過度に膨張した金融資産が一時に集中的に爆発したために発生したものだといえる。
現在の中国の資金不足は、多かれ少なかれ米国が量的緩和政策を引き上げようとしたことによるホットマネー流出への期待と関係があることは否定できない。米連邦準備制度理事会(FRB)がうち出した量的緩和政策はすでに効果を上げ、現在の米国は明らかに経済復興の流れにあり、量的緩和政策から徐々に撤退することは当然の選択だ。米国がひとたび量的緩和政策から撤退する戦略を実施すれば、グローバル経済、グローバル金融市場、資産価格が新たなダメージを受けることは確実だ。これについて、世界各国は十分な備えをする必要があり、一時的な資金不足のために流動性を放出し、より大きな損失を招くようなことをしてはならない。