第二に、現在の「資金不足」は構造的な問題に過ぎず、銀行システム内部の構造調整を通じて早急に解決できるものだ。中国経済は資金に困ってはいない。銀行システム内部の資金であれ、社会の資金であれ、全体として十分な量がある。5月末に人民元建て預金の残高は100兆元の大台に迫り、人民元建て貸出の残高は67兆2200万元で前年同月比14.5%増加した。1-4月の金融機関の外国為替資金残高の増加額は1兆5097億4100万元に上り、一月あたり約3774億元増加したことになる。昨年は年間を合わせても増加額は4946億4700万元にとどまっていた。ここからわかることは、銀行システム全体の流動性ストックは引き続き高い水準にあり、いわゆる「資金不足」は構造的なものだということだ。
わかりやすくいえば、構造的な「資金不足」とは資金を投入する場所を間違えているということだ。今年6月以降、全国の銀行の貸出は約1兆元増加し、このうち70%以上が手形による融資で、一般的な貸出は増加が非常に少ない。このデータは、資金の多くが実体経済に投入されていないことを十分に物語るものだ。一方、銀行の銀行間取引(インターバンク)業務は急速に伸びており、インターバンク市場の資産が資産全体に占める割合は15%を超えた。貸出が急激に増加し、手形による融資がこれにともなって増加し、一般的な貸出の伸びは小さく、銀行間取引業務は急速に増加。こうしたデータの背後にあるのは、典型的な資金の配置ミスであり、銀行の資金が「金が金を生む」マネーゲームに参加する際に場所を間違えたため、構造的な資金不足が起こったのだといえる。