最近の流動性逼迫や、当局による大幅な金融緩和の否定は、実体経済が真に資金不足になることを意味するものではないという点は明確にしておく必要がある。中国人民銀行(中央銀行)は先般、一部の支店における手形の再割引による資金供給枠を追加し、金融機関の小企業・零細企業と「三農(農業・農村・農民)」への貸付拡大を下支えした。当然、これは今の金融システムにおける応急的な処置に過ぎず、金融の市場化プロセスのペースを速める根本的な政策の実施が強く望まれている。
まずは民営銀行の設立の促進、国有銀行の市場化改革の更なる推進を行う必要がある。国有銀行はとかく大企業への融資を好む傾向があり、国有企業への一定の融資目標を定めているところもあり、市場化改革を進め、近代的企業制度を設けているにもかかわらず、改革が徹底されない。民営銀行の設立ペースを加速することで、中小規模の金融機関が実体経済の発展において、より大きな効果を発揮できるようにするべきである。次に、預金保険制度と健全な中小企業の信用担保システムを構築する必要がある。民営銀行は国有銀行に比べ信用度が低いため、預金吸収力が弱い。そのため、預金保険制度の構築をいち早く進めることで、社会資金の吸収に対する保障を提供する。中小企業の融資難問題もまた、信用力が低いことが要因であり、高リスクには必然的に高い貸付金利が付いてくる。そのため、中小企業の信用担保システムを整えるべきであり、中小企業向けの金融商品の開発を奨励していく必要がある。