人民元の地位は向上し、人民元を貯蓄や資金調達の通貨とする投資家や企業が世界で増えている。4月末の時点で、香港の期限に達していない人民元建てディムサム・ボンドと定期預金は合わせて4600億元に達し、香港の人民元預金の70%近くを占めた。企業のクロスボーダーの人民元建て決済の激増により、台湾での人民元預金規模も急増している。今年末には台湾の人民元預金総額は1000億から1500億元に達し、シンガポールを抜き、香港に次いで2番目に人民元預金が多い市場となる見通し。
ユーロ圏経済の不確実性増大で、欧州の各グローバル企業は人民元という世界通貨をすでに受け入れ、ロンドンもその利益を享受している。シンガポールが新たに打ち出した人民元建て決済機能によって、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の企業は、ドルではなく人民元でインボイスを作成するメリットに気づいた。
中国はすでに世界で最も重要な経済体の一つとなった。そのためアジア、欧州、米州、アフリカなど各国政府は今後の対中貿易に極めて重要になるとみて、その金融の中心に人民元建てオフショアセンターの設置を奨励している。