新基準は各企業にとって非常に厳しいものであるため、現在の50基の原子炉のうち審査を申請しているのは10基のみだ。また原発の所在地である地方政府も、再稼働に対して慎重な姿勢を示している。
原子力規制委員会は原発再稼働を最終決定する権限を持たず、その審査には約半年の時間が必要だ。審査合格後に原発所在地の地方政府の同意が得られた場合、日本政府が原発再稼働を最終決定する。橘川氏は、「10基が同時に審査に合格することは困難だ。原発は現在の日本にとって不可欠なエネルギー源であり、電力会社の原発再稼働の目的は巨額の赤字からの脱却だ」と語った。電気事業連合会の発表したデータによると、福島原発事故前の原発が発電全体に占める比率は30%に達していたが、2012年度は1.7%のみで、火力発電の比率が88.3%に達した。火力発電が使用する燃料費が急増し、日本の電力会社10社のうち、8社が2012年度に巨額の赤字を計上した。そのうち5社は、過去最大の赤字を記録した。