だがこうしたソロバン勘定が常に正しいとは限らない。「今は小泉時代とは違って、中国の消費者の心理と消費行為にも大きな変化が起こっている。日本の右翼勢力の行為は、中国国内の消費者に大きな影響を及ぼすようになった」と金研究員は指摘する。
中国の対外開放の継続推進と国内製造業の発展に伴い、中国を一度は席巻した日本製品はその魅力の代替不可能性を半減させている。中日両国の釣魚島の主権問題が拡大した際には、順調に伸びていた日系車の中国市場におけるシェアは急速に縮小し、ドイツ車に蚕食された。この傾向は現在にいたるまで根本的に逆転していない。選択肢を増やし、購買力を強めた中国の消費者は、「メイド・イン・ジャパン」にとって手痛い勉強の機会を与えたと言える。
注目すべきなのは、「政冷経熱」の時期の中日関係が抱えていた歴史問題に比べて、現在の両国の争いは主権と領土という国家の根本利益にかかわっている。巨大な民意の圧力がかかる中、この政治関係の難題が適切に解消されなければ、両国の経済関係だけを繁栄させることは難しい。