◆自動車メーカーにも円安の恩恵が
円安が進んだおかげで、かつて円高に苦しんでいた日本の自動車メーカーも少しずつ、その恩恵を感じ始めている。トヨタ自動車など自動車メーカー7社が2012年度(2012年4月1日―2013年3月31日)の決算で大幅な増益を実現した。トヨタ自動車が発表した2013年4―6月期決算によると、純利益は前年同期の2903億5000万円から5621億9000万円とおよそ2倍に拡大した。また、トヨタは2014年3月期連結業績予想で、営業利益を1兆3700億円から1兆4800億円に上方修正している。また、配当予想についても上方修正し、資本投資と研究開発費を10%引き上げた。
ホンダ自動車が発表した2012年度決算を見ると、売上高は9兆8800億円で、営業利益は前年同期比2.4倍の5448億円に達した。
これらの結果は、日本の自動車産業の復活と輸出業者が再び勢力を盛り返したことを示している。ドイツ銀行東京支店の自動車産業アナリストはかつて、「日本が自動車の輸出で利益を得られる、円対米ドル相場の為替水準は1ドル=85円前後であるが、今では既に100円台に近づいている」と指摘していた。
長年、中国は日本の自動車産業が拠点を移転する重要な地域だった。しかし、一部のアナリストは「大幅な円安となっているものの、日本の自動車メーカーはこのちょっとした好材料だけでは、大幅な調整をすることはないだろう」との見方を示している。