中国人民銀行(中央銀行)が金融機関の貸付金利変動幅の下限を撤廃したことは、金利の市場化プロセスが重要な局面に突入したことを意味する。預金金利の市場化は今後の市場化改革の中心であり、預金保険制度(ペイオフ)を確立することは預金金利の市場化において必要不可欠な条件である。預金保険制度の推進ペースは加速すると見られており、年内には実現する可能性が高い。9日付中国証券報が伝えた。
第一に、預金保険制度を確立することは金融の安定を保つための重要条件である。銀行の収益源は主に金利に頼っているというのが現状である。つまり、金利の市場化が進めば、利ざやは縮小し、銀行の収益構造と流動性管理は短期的に打撃を受ける可能性があり、銀行は大きな難題とリスクに直面すると見られる。これに対応するための預金保険制度と問題を抱えた銀行が撤退する仕組みを構築しなければ、経営不振に陥った銀行が破産・倒産に追い込まれるリスクは高まり、それがドミノ倒しのように周りを巻き込み、金融システム全体を大きく動揺させる事態を招く可能性もある。そのため、合理的な預金保険制度を確立することは金利の市場化、金融の安全性を確保ために重要である。
第二に、預金保険制度は金融改革を推進するための重要な基盤となる。目に見える形の預金保険制度と銀行に対する国家の暗黙の保証の違いは、暗黙の保証は預金者の保護と銀行を守ることを別々に行うことができず、国は銀行に対する無制限の責任を担っているという点である。中国国内からを見れば、預金保険制度がないことで、金融機関の破産や再編などの問題を処理する際に大きな不確定要素を抱えることになる。預金保険制度を確立すれば、公平な競争を行う環境を銀行業に提供することができ、民間資本の参入が可能となって初めて、経営不振の金融機関は市場から撤退することができる。預金保険制度は中小規模の金融機関の発展を牽引する。