そして今、預金保険制度の確立は必要に迫られている。今後、中国の経済成長が減速に向かうことで、資金流入は鈍化し、金融システムの運営にかかるリスクは高まるだろう。マクロ経済環境が比較的良好な時期に、預金保険制度を確立することは、不確かなリスクの防止にプラスとなる。
現在、預金保険制度をめぐる関連制度に関する研究は概ね完了している。関連部門と金融機関はいち早く共通認識を深め、制度の構築を推進するにあたり、以下の2点を考慮に入れる必要がある。
一、大手銀行が預金保険制度に加入すべきことは疑問を挟む余地のないことである。中小規模の銀行に比べ、大手銀行は全体的に強力な経営力を持つものの、リスクが発生しないという可能性を完全に排除することはできない。大手銀行がリスクに陥れば、その損失を国が完全にカバーすることができないのは明らかであり、市場メカニズムの中で解決策を模索することを第一に考えなければならない。世界の過去の例を見ると、大手銀行のリスクを解決するためには三つの防衛措置が必要である。まずは株主による損失吸収力を考慮する必要がある。次に預金保険制度という市場による解決メカニズムが速やかに介入することは、市場の信頼感安定に繋がる。最後に、市場メカニズムがリスクをカバーしきれなかった場合、中央銀行は即座にバランスシートを拡大することで、リスクを取り除くことができる。大規模なリスクが到来したとき、預金保険制度で一切を賄うことはできなくとも、市場メカニズムによってリスクを防止し、緩和することは可能である。リスクが蓄積することを回避し、リスクへの対処方法を変えることができる。