液晶パネル、白酒、粉ミルク、金のネックレスなどを売る企業が巨額の罰金を支払うことになったが、その後も国家発展改革委員会による独禁法調査により、「自動車価格が世界一高い国」として中国国内の自動車産業がやり玉に挙がっている。中国自動車流通協会は発展改革委員会の委託を受け、自動車産業における独禁法違反行為について調査している。調査には輸入車、国産海外ブランド車も含まれる。また自動車販売価格はもちろん、ディーラーのアフターサービスなども含まれるようだ。
同じ車が外国では安いという状況
自動車流通協会によると、中国市場は現在、輸入車で海外の販売価格と大きな差が生じているのみならず、中国国内生産の海外ブランド車の価格も海外の同ブランド車より高くなっている。同協会は、各ブランド車の国内外の市場価格、利潤、コスト、各国の関税水準などについてデータ収集を急いでいる。
関税とコスト、流通が内外価格差の原因
排気量が3000ccの新型アウディQ7は、カナダではわずか7.8万カナダドル。人民元にすると46万元だが、中国国内だと大幅な値引きをした後ですら、カナダより100万元も高い価格で売られている。
「中国の自動車は世界一高い」と自動車流通協会の担当者は言う。関税、生産コストの差、自動車流通システムなどが原因だ。
輸入車に限ってみれば、国内外市場で大きな価格差が生じてしまう大きな要因は税金だ。25%の関税に17%の増値税、さらに排気量に応じて徴収される消費税もある。これらによって輸入車価格は、しばしば本来価格の倍になってしまう。さらに国産海外ブランド車でも価格が高いとすれば、消費者にとっては受け入れがたい現象である。
「中国人の労働コストはアメリカやヨーロッパに比べて低い。巨大な研究開発費を必要とする自主ブランドメーカーより合弁自動車メーカーのほうが効率的なはずだ。どうして海外よりも高くなってしまうのか」。海外から戻って来た黄さんは、合弁メーカーは高利益率体質を維持するために価格操作をしているのではないかと疑っている。
ある自動車メーカーの幹部は、複雑な顔をしながら記者に現状を打ち明けてくれた。「自動車は典型的な大規模装置産業。トヨタは年間900万台以上を生産している。これは中国国内三大自動車メーカー全体の生産規模に匹敵する。一台あたりの生産コストは、どのメーカーも一律なわけではない」。自動車販売価格の単純比較では、独禁法違反を判断することはできないというのが、この幹部の見解だ。労働コストや原材料コストが高騰を続ける中、自動車メーカーの一部はこっそりリストラしたり生産の質を落としたりすることでコストを抑え、価格を維持している。消費者にとっては、さらなる不利益を生みかねない状況にある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年8月19日