ブラジルは1970年代に日本に次ぐ世界2位の造船国になったが、設備の切り替えが後れたり、技術の研究開発が十分でなかったりしたため、造船業は斜陽産業になってしまった。そこで外部の力を借りて造船業の復興をはかることが切実な目標となった。ブラジル側は日本との協力を通じ、2020年をめどに国内で使用する船舶の70%以上を国産化するとの目標を達成したい考えだ。
日本の造船業界の今回の動きは、ブラジルと手を結ぶことにより、ライバルである中国や韓国の造船業との競争で有利な地位を占めることが狙いだ。日本の造船業は生産能力の過剰が深刻であり、国内の企業再編を加速させ、手を取り合って新興市場を開拓することがかねてより業界の共通認識になっていた。ある日本メディアの報道によると、三菱重工業を中心とした日本の造船企業は、液化天然ガス(LNG)輸送船の建造で独自の技術的優位性を備えている。日本からブラジル造船業へ出資する今回の協力計画は、エコ社に技術的支援を提供して、ブラジル造船業の競争力を高めること、特に海上で採掘・探査を行う船舶の技術水準を引き上げることが主な狙いだ。日本の造船企業はブラジルに進出することで、市場を獲得すると同時に、建造コストの引き下げやさらなる競争上の優位点の獲得が可能になる。
世界の造船業は現在、史上最大の構造調整に直面している。英国の調査会社クラークソン・リサーチ・スタジオズが発表した最新の統計データによると、世界規模の造船企業の数は08年7月の620社から、今年6月は482社に減少し、市場の淘汰率は20%を超えた。ある海上石油・天然ガス設備メーカーの関係者によると、世界の造船産業では中国、日本、韓国の「三国鼎立」の競争局面が基本的に形成されており、中国は建造量が1位だが、今、重要なことは技術のグレードアップだ。深海の開発プロジェクト船や科学調査船などの船舶および関連装備の製造の分野でトップに立つことが必要であり、日本と韓国の造船産業はこれらの分野を主軸に据えている。